多動な人の生きにくさをAIシステムの設計に応用する timespace の挑戦
- TAKAHITO IGUCHI
- 2月1日
- 読了時間: 3分

ADHD傾向と、新しいチャレンジについて
私は最近になって、自分がADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向を持っていることに気づきました。発達障害が成人の症例として認知され、体系化されたのは比較的最近のことです。
そのため、自分の思考や行動パターンがADHDの症例と重なることに気づいたのも、本当に最近のことなのです。その生きづらさに何らかの光明が刺した瞬間です。
ADHDへの理解と学びを得る
ADHDについて多くを知るにつれ、ADHD起業家の友人や、ADHDへの行動療法を研究している精神科医の友人の話を聞く機会が増え、多くの学びを得ることができました。これらの経験を通じて、ADHDの特性が神経科学的な原因によるものだと理解し、そこから多くの発見を得ることができました。
自分の行動や思考の特徴がADHDの特性と一致していることを納得するまでには時間がかかりましたが、今ではその理解が私の生活に大きな良い影響を与えています。そこには何らかの救済があるのだと感じられました。
社団法人「Tomorrow Never Knows」の設立経緯
今年の6月、「未来計算研究開発基盤」として社団法人「Tomorrow Never Knows」を設立しました。当初から、人の行動支援ができる未来計算技術の可能性に着目していました。
具体的には、未来に先回りして準備をしたり、予定の策定や予約行動などを人工知能(AI)が上手に代行してくれることで、ADHD的な特性を持つ人たちの生活が大きく改善されるのではないかと考えたのです。自分の辛さや大変さが、新しい技術の開発に使えるとすると、それは大きな救いになるに違いないと思えました。
AIによる未来行動予測と、ADHD支援の連携
私の直感では、時系列で起こる環境の変化と人間の行動をAIが上手く整合させることで、ADHD的な行動を効果的にサポートできると確信しています。具体的には、何かを準備したり、予約を入れたり、アポイントを設定したりといった苦手な領域の行動をAIが支援することで、ADHDの特性に合わせた生活環境を自然に構築できるのではないかと考えています。
未来計算技術の、鋭くも深い開発動機が、実は自分の中にあったことは大きな発見でした。
新製品「timespace」の開発を始める
こうしたアイデアから生まれたのが、現在開発中の製品「timespace」です。timespaceは、予定の調整や予約行動をすることなく、準備行動を特に必要とせずに快適に生活できるサポートシステムです。未来計算によって将来の行動をプログラムし、多動的な人々の生活行動をサポートすることを目指しています。
このシステムを実現する為のアプリケーションを現在開発中で、来年3月開催のSXSW2025に向けて準備を進めています。何しろ、自分の中に大きな課題があるので、その課題の洞察には困りません。
近未来の展望:行動プログラミングの可能性
「timespace」を通じて、ADHDの特性を持つ人々がより快適に、効率的に生活できる環境を提供することを目指しています。AIの力を活用することで、より多くの人々が、より自分らしい生活を送れるようになると考えています。さらに、ADHD的な特性を持つ人の行動支援が、正常発達の人にとっても有効な行動プログラミングと、それによるサポートシステムへと発展させられるのではないか?そう考えています。
Tomorrow Never Knowsは、まだまだ力のない小さなチームですが、AIで、人の行動プログラミングの未来を作っていきたいと思える、研究者や開発者の助力がとても有難いので、これを面白い!と思えた方は、ぜひ私達のドアをノックしてくださいね。


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